口腔外科医学部附属病院に進んだ理由

卒後の進路
筆者が歯学部を卒業した当時は、卒後の臨床研修は義務化されてはいませんでした。その頃の卒後の進路としては、5種類ほどありました。一つは、母校の附属病院に進む道です。補綴科、保存科という具合に極めたい科に入局するのです。これが一番多かったように思います。他部門の経験はどのようにして積んでいっていたのか、今もって疑問です・・・。ついで、開業医に就職するというもの。雇う方も雇われる方も勇気があるなぁって、我ながら思ったものです。また、大学院に進む選択肢もあります。そして、他大学の歯学部もしくは医学部附属病院に入職するという進路もあります。最後は、仕事をしないというもの。さすがに、同期生にこれはいなかったですね。その中で、筆者は縁もゆかりもない某大学医学部附属病院の口腔外科を選びました。

人口減少、高齢社会
筆者が在学時から、日本の将来の少子高齢化というのが統計上予測され、国全体にくらい雲の様に覆い始めていました。思えば小学校の頃は、人口増加で将来日本国内の住居に供する土地が足りなくなるとか、国中が高層ビルだらけになるとか、食料不足で大変になるとか学校の先生が言っておりました。 星新一氏の著書にも、人口増加で地球全体の土地が不足する様な話があったと思います。
日本の少子高齢化問題とは、現代の視点からみれば杞憂に過ぎなかった人口増大問題への対策として行なわれた国を挙げての人口抑制策の結果とも言えなくないと思いますが、少子高齢化というのは国力の減退を意味するわけですから由々しき問題です。年金を含めた社会保障制度そのものが、人口増加を根拠としたねずみ講みたいなシステムなのですから、人口減少がもたらす弊害は論をまちません。単なる統計学の問題に過ぎないのに、当時の優秀な官僚の方々がどうしてそれに気づかなかったのか不思議でなりません。

高齢化に伴う有病者率の増大予想。
在学時に日本の高齢化社会(この頃は、まだ高齢”化”社会だったのです。ご存知の通り現在は高齢社会です。)が、社会問題になりつつあったわけですが、それに伴い有病者の患者に遭遇する率があがるだろうと、学生ながら予想したわけです。父祖の代であれば、有病者は病院歯科へ紹介すればよかったでしょうが、この割合が増加すればそうもいきません。有病者を診れないというのは、歯科医院は経営上のリスクファクターになってしまいます。
なお、医科には”有病者”という言葉はありません。当然といえば当然ですね。病院に来る患者が”有病”でないわけがありません。すべからく基礎疾患もしくは全身疾患と呼称されます。この点から、従来の”歯科診療”に基礎疾患という概念が乏しかったのではないかと、勘ぐりたくもなります。

医学部附属病院に進んだ理由。
将来の高齢社会をにらんで、母校の診療科にも高齢者歯科という部門がありました。ですが、筆者は、そこではなく医学部附属病院の口腔外科を選びました。
歯学部附属病院よりも、医学部附属病院の方が、様々な基礎疾患をもつ患者割合が高いのではないかと思ったからです。入局試験の時の面接試験で、志望動機を問われ、そう答えたところ、「うちではなくてもいいのではないですか?」と言われ、不合格だなと思ったこともありましたが、なんとか合格でき、研修医として勤めてみるるとそれが間違いではなかったことがわかりました。
医学部附属病院には口腔外科しかありませんから、結果的に口腔外科を志したことになります。

歯科医師として
開業したとして、大学病院で診た様な患者が来るわけではないですし、あらゆる基礎疾患を持つ患者をすべてを診ることが出来るわけではありません。けれども、ここまでは一般の開業医が診ることができる、これ以上は病院歯科に送ったほうがいいという、線引きが出来るようになったということだけでも、歯科医師としての職業上、大きな利点となったのではないかと思います。

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