患者さんからの感謝の言葉

「ありがとうございましたという言葉」
辞書をひいてみると、ありがとうという言葉は、「ありがたい」=「有り難い」=「存在が希有なくらい貴重な行為」ということから生じたそうです。
この歯科医業、どれほどの患者さんから「有り難い」と思ってもらっているのでしょうか。
むし歯を抜歯をしても、正直あまり喜ばれないように思います。研修医の時に指導医の先生が話してくれたことに、「大学病院で抜歯されたら、患者さんは『大学病院で抜歯してもらった』と言うが、開業医で抜歯されたら『どこそこの歯医者で抜歯された』と言う。」というのがありました。同じ抜歯と言う行為でも、どこで受けるかということで受け止め方には大きな違いがあるということです。
どちらでも「ありがとうございました」と患者さんは仰ってくれますが、あいさつの様な感じでしょうか。誤解のない様にしていただきたいのですが、感謝される為に歯科医療をしているわけではありません。筆者程度の力量で、患者さんから「有り難い」と思ってもらうなど、おこがましいことこの上ないです。

「感謝されると頑張れる」
畢竟、あいさつとしての「ありがとうございました」という言葉と、本心からの「有り難とうございました」は、どこが違うかと言われたら困りますが、思うに違いはあります。
歯科医師になって良かったと思えたのは、月並みな言い方ですが、後者の場合です。やはり、「有り難うございました」と言ってもらえると、うれしいものです。
病院歯科には、救急車で外傷患者が搬送されてくることもあります。この時、救急外来で外傷処置を行なった後に、患者さんや家族の方から頂ける「 有り難うございました」という言葉。この言葉をもらうと、どんなに大変であっても疲れが吹き飛びます。
激しい痛みに苦しむけれど、どこの病院に行っても解決せず、当院に来て診断がついた「群発頭痛」と「舌咽神経痛」の患者さんそれぞれから、除痛出来た際に頂いた「 有り難とうございました」の言葉。半信半疑ながら藁をもつかむ思いで受診なさったと思います。その期待に応えることが出来たと、この時ばかりは、心の中でファンファーレが鳴ったと言っても過言ではないくらい、うれしかったですね。
金額には表れない、こうした「有り難う」という言葉があるから頑張れるのだと思います。

「初めての贈り物」
昨今は患者さんからの贈り物は、お断りするのが風潮です。別に、何かもらったから優遇するわけでもありませんし、もらわなかったから手を抜くわけでもないので、どちらでも構いません。仕事の対価としていただくお金で十分です。
でも、研修医の時にもらったあるものは、それから10余年たった今でも大切に持っています。それは手紙です。それも当時小学3年生くらいの子供からもらったものでした。
今でも思い出します。東北地方の某大学病院での研修医時代、口腔外科の病棟は、皮膚科と共通病床でした。夏休み、冬休み、春休みと長期休暇の時期になると、その子は入院してきました。幼少期のひどいやけどの瘢痕の治療が目的です。なんでも偉そうに話す子で、医師や看護師にあだ名を付けて呼んでいました。何故か筆者はのび太と呼ばれていました。そんな一見すると勝ち気な子供なのですが、処置のときは相当辛かったのでしょう、皮膚科処置室で歯を食いしばり、文句もいわず涙をこらえて耐えていました。
そんな皮膚科の患者さんなのですが、入院中、歯科治療が必要なことがありまして、筆者が担当になりました。皮膚科での処置ほどではなかったと思いますが、よく頑張ってくれました。その子が退院する時にくれた手紙です。正確にはメッセージが書かれた折り紙です。
もう30歳前になったと思いますが、今頃どうしているんでしょうか。同じ空の下、元気に過ごしているんでしょうか。同じくらいの子供を持つ身になり、親の気持ちがわかるようになった筆者です。

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