研修医の当直の仕事内容について

当直業務
ところで、開業歯科医と病院歯科医との大きな違いって何かな?と思ったとき、真っ先に頭に浮かんでくるのが、病院当直があるかどうかというところです。もっとも、市中病院の場合は、当直業務ではなく宅直と呼ばれる自宅待機がほとんどなので、大学病院に限られたケースかも知れません。
この当直業務は、研修医も行ないます。ただ、研修医には独力で当直をこなす能力は当然ありませんから、上級医と一緒に遂行することになります。そういう事情もあってか、現在はいざ知らず、当時は無給でした。

当直室
当直業務ですから、夕方から翌朝まで病院に泊まりこみです。
各科ごとに当直室が割り当てられていました。どういう振り分けだったのかはわかりませんが、口腔外科の当直室は、病院の旧病棟中二階北の奥の奥といったところにありました。窓は外に格子のつけられた霞ガラス、白い低い天井には蛍光灯がひとつ配されていますが、その周囲には何本もの配管が露出しており、白い鉄のベット以外何もない殺風景な部屋と相まって、独房の様な雰囲気を醸し出していました。
医局のある建物と当直室がある建物は異なっており、その間にも違う建物があり、渡り廊下で繋がっています。さながら迷路の様な経路です。階段を上り、廊下を歩き、今度は階段を下りと、廊下と階段をいくつもくぐり抜けた先に当直室があります。初めの頃は何回か迷いました。上級医の先生達は、そこまで行くのが面倒なのか、テレビやパソコンがあって過ごしやすいからか、当直室からシーツと枕を拝借して医局で寝ていました。このシーツや枕を返すのは研修医の仕事でした。何しろ、医局にそういったものがあることは想定されていないので、リネン交換には来てくれませんから。

当直日の夕食
無給の研修医には上級医が夕食代を負担するのが当科の慣習となっていました。夕食代の出所は上級医の先生のポケットマネーからでしたから、感謝しきりです。
医局に出入りのお惣菜屋さんがあり、そこに注文して、お弁当を届けてもらったりしました。また、現在では考えらないことですが、当時はまだ比較的大らかな世相だったからか、病院を出て近隣のラーメン屋さんとかに行ったりもしていました。今、そんなところを見られたら、大目玉をくらうことでしょう。
験を担ぐ人はどこにでもいるもので、我々の世界も同様です。これこれの手術をした日に、このラーメン屋に行くと、夜呼ばれるからやめておこうとか、そこのお店が聞いたら、苦情を言ってきそうな理由で、お店を選んでいました。そんなことあるわけないと、敢えてそのお店を選んで行ったりすると、深夜にポケベルがなるものですから、人の理知を超越した何か不思議な因果というものがあったのでしょうかね。

深夜のポケベル
ちなみに、当直業務は、基本的には病棟当直にあたり、救急は本来の意味では対象外です。しかし、すべからくお断りするということはなく、そこは臨機応変に対応します。というより、近頃はわかりませんが、当時はすべて受けていました。
病棟の入院患者も落ち着いていて、平和な感じの当直の夜、草木も眠る丑三つ時、枕元においてあるポケベルが持ち主を探して、目覚めます。夜の回診では、病棟詰所も静けさに包まれていたほどだったのに、何事か!?と、ポケベルの画面表示を見ると見慣れぬ番号が点滅しています。嫌な予感が胸を突き上げます。電話をかけてみると救急外来。交通事故で搬送されてきたとの由。上級医の先生を起こす前に、まずは状況確認とばかりに、救急外来に向かいます。レントゲンなど資料がそろってから、上級医に電話をかけます。幸いなことに骨折もなく裂創だけでしたので、縫合して終了。
日中の診療では、外傷患者が来てもなかなか処置はさせてもらえません。たいてい診断までです。けれど、当直の日に限っては上級医と二人しかいないので、比較的処置をさせてもらえました。ドキドキしながらになるわけですが、経験を積むにはとてもいい機会でした。

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